
『年を取ったら施設に行くわ』と仰る方がいらっしゃいます。
深い意味では言ってないでしょうが……。
施設での生活や選択肢を知らないと、将来への準備や心づもりができません。
そこで今回は『在宅の生活・施設の生活』と題して、それぞれの生活をご紹介いたします。
とあるサービス付き高齢者向け住宅での1日の生活です。
サ高住は自立している方や比較的介護度が低い方が集まるとされていますが、実際は認知症と車椅子の方しかいない施設もあります。
家族で介護しきれなくなった方が住まれていることが多いようです。
居室内は6帖ほどの中にベッド、ミニキッチン、トイレがあり、家具などは持ち込めます。
自由に外出はできません。
お風呂も共有です。
夜間は安否確認のためにスタッフが定期的に部屋を確認に行きます。
必要な方には、食事、入浴、排せつ、口腔、着替えなどの介助があります。
【一日の生活】
7時:起床、更衣、排泄
8時:朝食
入浴は3日に1回(自由には入れません)
体操などのレクリエーション
施設内で自由時間
12時:昼食
体操などのレクリエーション
施設内で自由時間
17時:夕食
19時:更衣、排泄、就寝
居室内で自由時間
とある身体に障害がある一人暮らしの方の1日の生活です。
障がいがあり、自身でベッドから降りることができません。
ヘルパーがいない時間帯はベッドでTVを見ていることしかできません。
体幹がなく、手足も自由に動かせません。
【一日の生活】
8時:ヘルパー訪問
リハビリパンツ交換
ベッドから降ろしてもらい、顔や手の清拭、歯磨き
ヘルパーが用意した朝食を食べる
トイレまで移動し排泄介助
タバコを吸いながらTV鑑賞
9時30分:ベッドに戻る
12時:ヘルパー訪問
パット交換
ベッドから降ろしてもらい、ヘルパーが用意した昼食を食べる
タバコを吸いながらTV鑑賞
13時:ベッドに戻る
17時:ヘルパー訪問
パット交換
ベッドから降ろしてもらい、ヘルパーが用意した夕食を食べる
タバコを吸いながらTV鑑賞
18時30分:ベッドに戻る
20時:ヘルパー訪問
パット交換
就寝
洗濯は毎日ヘルパーが実施
掃除は週1回ヘルパーが実施
入浴は週2回のデイサービスで実施
介護保険を利用できるので費用は格安です
ほんの一例ですが紹介させていただきました。
文章で見ると、どちらが幸せかわかりずらいですね……。
実際のところ、自宅で暮らしている方のほうが豊かな生活をされています。
それは間違いありません。
施設で生活されている方は『家に帰りたい』『ここは牢屋や』などと言われます。
結局のところ施設では狭い空間に閉じ込められる状況になります。
自由時間はあっても自由ではありません。
在宅は身体が不自由でも生活は自由です。
タバコも吸えます。
国も『施設から在宅』『病院から自宅』へと推進しています。
ですので、基本的には住みなれた家で生活し続ける方向で将来設計するべきだと思います。
ただ、どうしても施設で過ごす必要がでてきた場合は、事前に施設見学をして下さい。
ホームページやパンフレットでは素敵な食事、楽しいレクリエーション、笑顔のイメージ写真で溢れていると思います。
現実とは違いますので、事前に施設の雰囲気や清潔さを見に行くことはとても重要です。
記事作成者

昭和リフォーム代表
新井 太次郎
介護福祉士/宅地建物取引士
リフォーム事業を運営する傍ら介護士として介護業界にも従事しています。施設、居宅の両方で勤務経験があり、認知症、身体障がい、自閉症など、様々な方の介護を経験しています。
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