トイレの正しい手すり位置

トイレの正しい手すり位置をご存知でしょうか?

 

99%のリフォーム関係者は『そんなの知ってるよ。便器の横に縦とかL型の手すりを付けるんでしょ?』と答えると思います。

 

全くの不正解ではないですが、その根拠をリフォーム関係者は答えられません。

 

そこで今回はトイレの手すりについて詳しく説明していきます。

 

それぞれの手すりの役割

・縦型手すり

→立位の姿勢保持

 

・水平手すり

→座位の姿勢保持、歩行補助

 

・L型手すり

→立位の姿勢保持、座位の姿勢保持

 

立位の姿勢保持とは、扉の開閉、段差昇降、方向転換、片手片足になる場面でバランスを崩して倒れないように立っている状態を安定させることです。

 

座位の姿勢保持とは、座っている時に前後左右に倒れないように、座っている状態を安定させることです。

  

『前傾姿勢』をとれる位置に設置する

では座っている状態から立ち上がるには縦型、水平どちらが正解でしょうか?

 

結論、どちらも正解です。

 

大事なのは前傾姿勢をとれる位置に設置するということです。

 

人間の身体で一番重いのが、頭とお尻です。

 

頭が自然と前にくるような位置に手すりを設置すれば、自然とお尻が浮き、テコの原理のような動きで立ち上がることができます。

 

縦型手すりは『引く力』が必要

縦型、水平どちらも正解と言いましたが、一般的には縦型だけが正解だと誤認されています。 

 

リフォーム関係者は、縦型手すりだけが立ち上がるために使用するものだと認識しています。

 

お客様もそのように認識しています。

 

マニュアルにもそのように書かれています。

 

もちろんそれで立ち上がれるだけの引く力があれば問題はありませんが、手すりを必要とする高齢者は腕の力も弱いので、それでは立ち上がれない方も多くいます。

 

人間本来の動きは『引く』ではなく『押す』

これは介護業界の重鎮、三好春樹先生(理学療法士)の言葉です。

 

『人の自然な動作で“引く”という動きはありません。正しくは“押す”なのです。』

 

 

つまり、腕の力が弱い高齢者には、手すりを押して利用できる位置に設置するのが正解です。

 

具体的には、軽く手すりを押してお尻が自然に浮くような高さ(高さ50~60㎝)に手すりを水平に設置します。

 

まとめ

縦型手すり

『引く』→立ち上がるには力が必要

 

水平手すり

『押す』→弱い力でも立ち上がれる

  

実際に手すりを水平に施工して『簡単に便座から立ち上がれるようになった!』と驚かれていたお客様もいらっしゃいます。

 

是非、参考にしてみて下さい。

 

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ブログ作成者

昭和リフォーム代表

新井 太次郎

介護福祉士

 

リフォーム事業を運営する傍ら介護士として介護業界にも従事しています。施設、居宅の両方で勤務経験があり、認知症、身体障がい、自閉症など、様々な方の介護を経験しています。